- No.02 IOC World Bird List オバシギ属不明種についての考察
 千葉県で2009年8月16日頃に発見された種不明のシギを、23日に実際に観察することができた。外見上の特徴が合致する種はなく、交雑個体の可能性が高い。ヒバリシギに近い印象を受けた。そこで、まずヒバリシギと比較し、片親がヒバリシギであるという結論を示した上で、もう片方の親を考察していきたい。
1.ヒバリシギとの比較
 まず、頭部の比較である。左が種不明シギ、右がヒバリシギ。最も大きな相違点は嘴で、種不明シギはヒバリシギよりも明らかに長く、先端がやや下にカーブしています(赤矢印)。また、ヒバリシギは基部に黄色味があるのに対し、種不明シギには確認できない。基部がやや淡色味があるようにも見えるが、光の加減や泥の付着なども考えられる。頭頂部は、どちらも茶褐色だが、不明種は後頭で中途半端に終わっている印象を受ける。目の位置も種不明シギでは嘴と距離がある。
 続いても頭部の比較だが、今度は正面からの写真である。ヒバリシギは頭部の茶褐色部分が嘴基部につながるのが一般的とされている(右写真矢印)。しかし、種不明シギでは、途中で途切れている。副眉斑があることもヒバリシギの特徴であり、種不明シギには確認できない。しかし、ヒバリシギでも目立たない固体もいる。この2つの特徴はヒバリシギであることの消極的な否定材料となる。
 次に初列風切羽の比較である。ヒバリシギは、初列風切が三列風切からほとんど突出しない。種不明シギでは、三列風切から初列風切がやや突出している。また、種不明シギは尾羽が最も突出している。
 最後に足の比較である。これは唯一特徴が合致している。色はどちらも黄色で中趾が長く、ふしょと同程度かやや長い。
 以上のことから、全体的な印象として、最も近いのはヒバリシギだが、細部の特徴から純粋なヒバリシギだとは言い難く、ヒバリシギを片親とする交雑個体だと考えられる。
2.もう片方の親の考察
 もう片方の親を考察するにあたっては、種不明シギとヒバリシギとの大きな相違点である嘴に注目したい。種不明シギは、「嘴が長く、先端がやや下にカーブしている。」のが特徴であり、ヒバリシギにはこのような特徴がないことから、必然的にもう片方の親は、嘴が長く、先端がやや下にカーブしているシギということになる。ヒバリシギと近縁で、交雑の可能性があり、その特徴を満たしているシギは、ハマシギ、サルハマシギ、ヒメハマシギ、アメリカウズラシギなどが挙げられます。ここで、もう一つ注目すべき点は目の位置である。種不明シギは嘴と目が離れていたことから、この特徴を持ったシギに絞られる。そうなると、残るのはハマシギ(写真中央)、サルハマシギ(写真右)である。しかし、サルハマシギほど嘴のカーブが大きくなく、先端も細くなっていない。また、有名な雑種にアメリカウズラシギとサルハマシギの交雑個体、通称Cox's sandpiperがいるが、これには肩羽・雨覆などにサルハマシギの特徴が見られるとされる。しかし種不明シギにはそのようなものは見られない。ただこれはあくまでも参考程度である。種不明シギは尾羽が一番突出しているが、これはハマシギの特徴であり、サルハマシギの場合、初列風切が尾羽を越えるのが通常とされる。以上のことから、もう片方の親がサルハマシギであるとは考えにくく、ハマシギとするのが妥当と言える。
3.結論
 種不明シギは、ヒバリシギとハマシギの交雑個体であるという結論に至った。
4.参考写真
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